phantom +48[V] 電源

回路図 v0.8 09/28/2002 更新

ブロッキング発振を利用した昇圧回路です。コイルに流れる電流が切れる瞬間に発生するインパルス(Ldi/dt)を整流して高い電圧を得ています。出力電圧がZD1のチェナ電圧(47.2V)を超えるとR2に直流バイアスがかかり、Q2 がオン状態となって Q1 の発振が停止し、出力が安定化します。R2 を入れないと、チェナからの漏れ電流とPN接合面のコンデンサの影響で Q2 が時々オンになってしまうようです。

・コイルの作り方

試作する場合は、ドラムコアが便利です。手に入らない場合はチョークコイルをばらして入手することもできます。ノイズ除去用のコアでは損失が大きくて +20〜+30[V] くらいしか出ませんでした。コアには、0.25〜0.35[mm]位のエナメル線を35回巻いてください。巻き付ける向きに注意してください。間違えると発振しません。

実際に組み込む場合には、漏れ磁束の少ないトロイダルコアがおすすめです。ドラムコアでは交流磁界が大量に漏れて、外部の回路に悪影響をもたらします。試しに長さ10[cm]のケーブルをドラムコアから50[cm]離して起電力を測定したところ、数十[mV]もノイズが出ていました。おそらくトロイダルコアを用いても、電源部全体を鉄製のシールドで覆わないと厳しいと思います。

ドラムコアの作り方 トロイダルコアの作り方

・Q1 はストロボ用の 2SC3279, 2SC2500, (2SC2655) が一番適していますが、手持ちがなければ次の特性を持つトランジスタを用いてください。

 ・Icが2[A]程度
 ・hfeが大きい
 ・飽和電圧(Vsat)が低い
 ・Pcが2[w]くらいの大きなもの(ちょっと効率が悪いので)
 
・Q2 は、hfeが程々大きい汎用トランジスタで十分です。

・整流用ダイオード(D) には整流用ショットキーが望ましいのですが、普通のダイオードでもほとんど効率が変わりませんでした。

・チェナーダイオードで47.2[V]のものはありませんから、複数のチェナダイオードを直列に接続してください。合計値は47.2[V]より+0[V]〜-1.5[V]位までずれていても大丈夫です。
チェナー電圧を変更すれば、目的の電圧を出力することができます。

トランジスタに 2SD1913 を用いた時の特性を次に示します。電源は 1.2V 1500mAh 単三 Ni-MH 4本です。
電源電圧が低下しているのは、電池の内部抵抗による影響です。

負荷にバイパスコンデンサなし
電源電圧[V] 電源電流[A] 出力電圧[V] 出力電流[mA] 負荷抵抗[kΩ] 入力電力 Pi[W] 出力電力 Po[W] 効率η[%] リプル[mVp-p]
4.59 0.0320 48.8 0 - (オープン) 0.147 0.00 0.00 40
4.43 0.12 48.4 4.74 10.2 0.531 0.230 43.3 60
4.25 0.21 47.9 9.4 5.1 0.892 0.450 50.4 50
3.95 0.40 47.0 18.4 2.55 1.58 0.864 54.7 20

負荷にバイパスコンデンサ 47[uF] をパラに接続
電源電圧[V] 電源電流[A] 出力電圧[V] 出力電流[mA] 負荷抵抗[kΩ] 入力電力 Pi[W] 出力電力 Po[W] 効率η[%] リプル[mVp-p]
4.49 0.0318 48.7 0 - (オープン) 0.143 0.00 0.00 5
4.40 0.11 48.2 4.72 10.2 0.484 0.228 47.1 8
4.23 0.20 47.8 9.37 5.1 0.846 0.448 53.0 8
3.86 0.40 46.9 18.4 2.55 1.54 0.862 56.0 8

・負荷にバイパスコンデンサをつけると、2〜3[%] ほど効率が改善するようです。
・RODE NT-2 をステレオでつないだ場合の消費電流は 4.5[mA] x 2 = 9[mA] です。

!注意!
・この回路は、出力をオープンにした状態でフィードバック制御回路が死ぬと、 150[V] 以上の電圧が発生します。
・短絡保護が付いていません。出力を短絡しないでください。





外観


PCBマスクと説明のダウンロード(68KB)



Q1 の各電位です。発振周波数 f=33[KHz]
time: 10[usec/div]
上: Vc 50[V/div] GND は中心から+1[cm]
下: Vb 5[V/div] GND は中心から-1[cm]